No Pain, No Gain

気がつけば不惑、それでも今日も絶賛迷走中。

お金にお金を稼がせる方法(うさんくさいです)

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photo by @Doug88888

お金にお金を稼がせる。寝ている間にお金が増える。
 
タンスにお金を眠らせることが大好きな我々日本人にとっては、
何とも胡散臭く感じられるフレーズです。
 
まさにこれを地で行く商品が2013年6月に中国で誕生しました。
それが「余額宝」です。
運営しているのはタオバオ(日本でいうと楽天)を運営するアリババのグループ企業で、
三者決済を行う「支付宝(アリペイ)」。
淘宝

淘宝

  • Taobao (China) Software CO.,LTD
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余額宝の説明の前に、まず支付宝について

支付宝はタオバオで商品を購入する際の決済手段の1つです。
ざっくり書くと以下のような流れになっています。
 1)購入者は支付宝のネット上のアカウントに入金
 2)商品が届いたら、購入者はアカウントから販売者に対して決済指示
 3)販売者のアカウントに入金される
ちゃんとした商品が届くかどうか見てから支払いをしたいというニーズにしっかり応えるサービスになっています。
日本でアマゾンや楽天で買い物する際には、大半の人がクレジットカードを利用しているのではないかと思いますが、
ここは日本と中国のネットショッピング慣習の違いかもしれません。
 
で、この支付宝アカウントに「利子が付くアカウント」として余額宝が出てきました。
物を買わずにアリペイにお金を預けている「余」った「額」に「宝」が付く、といったところでしょうか。
 

余額宝のここがスゴイ

1)利子が市中の銀行よりも遙かに良い

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年換算の利率が5.496%。
中国銀行(日本にも中国銀行はありますが、中国の中国銀行です)の
普通預金金利は0.35%、5年物の定期預金で4.75%です。
ちなみに直近の日本の某都市銀行の定期預金金利(10年物)は0.1%。中国の普通預金以下ですね。
10年間某都市銀行に定期で100万円を預けたとして、10年後の受取額は101万円。
余額宝だと10年間100万元預けると171万元。
(余額宝の利率は日々変動しているのであくまでも机上の話ですが)
 
2)いつでも1元出金/入金可能(1円≒16円-14/3/26時点)

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定期預金であれば原則途中での入出金はできない前提となっています。
もし中途解約となると、元本割れはしないものの適用される利子がベラボーに減ります。
銀行からすれば一定期間は引き出されない(=自分たちが好きに使える)ことと
引き替えに高い利率を与えるので当然と言えば当然です。
ところが、余額宝はいつでも入出金が可能です。お金を持っていない人でも資産運用ができるわけです。
 
これらの利点もあり、中国中の人が余りに飛びつきました。
オフィシャルHPでは5000万人以上と記載されていますが、
フィナンシャルタイムによると8000万人が利用しているとのこと。
そして集まったお金は5000億元(約8兆円!)以上。
さらに、この余りの人気を見て、その他の企業も類似のサービスを開始しています。
主なところではアリババのライバル企業Tencentの「理財通」なんかがあります。
 

ただし...

残念ながら18歳以上の中国大陸に居住する中国政府発行の身分証明書を持つ者しか利用出来ません。
要するに外国人は利用不可(居留証を持っていてもダメ)。...残念すぎる。
おとなしく定期の口座でも開くしかないですね。
ただ、外貨で定期にするとひとたび為替が思わぬ動きをすると
折角の高利回りが吹き飛ぶような悲惨な事態も発生し得ます。
だからこそ、いつでも引き出せる余額宝がいいのですが...。
 

あとがき

どうせ利用出来ないので、ある日突然全アカウントが凍結とかなったとしても、
ひとまず対岸の火事として眺めていられる僕ですが、
あまりにもいいことずくめなので、気になる点を少し。
(もしも本当に全アカウント凍結となる事態になれば、8兆円規模のファンドが危機的な状態に陥った事になるので中国経済のみならず世界経済がお祭り騒ぎになるはず)
1)利率が低下→運用がうまくいっていない?
日本人からすれば5.469%でも十分過ぎる利率に思われますが、
実はサービス開始以降、2014年初に6.7%近くまで上昇しています。
ただ、今はそこから緩やかに下降傾向にあります。
集めたお金の運用がうまくいってないのかもしれません。
とすると、あまり多額のお金を預けておくのはリスクが高いかもしれません。
2)当局の規制→?
中国の銀行は貸出・預入金利が金融当局にコントロールされていて自由に設定できません。
一方で余額宝は高利を売りに、どんどん銀行の顧客を食いにかかってます。
この流れが続けば、いずれ銀行の存続に関わる事態にもなりかねません。
今のところは当局は積極的に規制をかける気配はないようですが、今後の見通しは不明です。

急膨張の中国オンライン金融に「待った」 包囲網着々 :NQNスペシャル :マーケット :日本経済新聞

余額宝が使えないので、とりあえずタオバオで現金を入れるタンスでも買います。

では、また。

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