No Pain, No Gain

気がつけば不惑、それでも今日も絶賛迷走中。

残業しなくなって良かったことと悪かったこと、そして残業しないためにどうするか

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photo by Clearly Ambiguous

上海に来てからというもの、ほとんど残業をしていない。繁忙期には多少残業することがあるので全くゼロというわけではないが、均して考えると5時間/月もないと思う。

 

日本人の感覚からいえば残業ゼロ生活と言っても過言ではない。

事実、僕自身が日本で仕事をしていた時には、定時に帰るということは1年間の中で1回あるかどうかだったし、それもそもそも会社の宴会やイベントの為に早く会社を出るだけで、ある意味残業みたいなものだ。退社時間は早くて21時頃で、遅ければ当然終電、電車に1時間以上揺られて家に帰り、数時間寝たら出社。(書いてて思ったけど、生きるためとはいえひどい生活だ)

 

夢の生活が今ここに

「9時出勤5時上がり」という言葉はどこかの夢の国の出来事と思っていたのだが、その生活をまさに今送っているのだ。何故それが実現されているのかはここで多くを語らないが、今の会社には「もりもり残業する」という文化が根付いていない。従って、大半の社員が当然のように定時に帰る。残業するのは、周りも「そりゃ残業せざるを得ない」と理解しているような切迫した事態の時くらいだ。(逆に、日本では「あいつはどうして残業しているのだろう?」という人ばかりだ。人というより、組織かもしれない)

 

なので、読者の皆さんには、僕の業務上の工夫や、会社の努力によって残業が減ったという前向きな話にはならないことを予めお詫びしたい。その上で残業ゼロ生活のメリット/デメリットを書き記してみる。(ただの自慢に思えるかもしれないが、まあ読者も大していないので、気にしない)

 

残業ゼロになって良かった点

・可処分時間が増えて、家族と一緒の時間が長い

顧客との会食などが無ければ、基本は自宅で子供達と一緒に食事が取れる。風呂にも一緒に入る事が出来るし、子供の勉強を見てあげることも出来るし、寝かしつけることも出来る。その後自分の時間を持つことも出来るし、奥さんと語り合う時間も十分にある。

・朝、目覚めたときの疲労感がない

もちろん、一日の仕事を終えて家に帰ると「今日は心底疲れた…」という日も少なからずある。ただ、睡眠時間がたくさん取れていることによる肉体的な面と、自由な時間が多い事でストレスが発散しやすいことによる精神的な面から、疲労が次の日に持ち越すとことはなくなった。

・寿命が延びているような気がする

中国で暮らしているので、空気、水、その他食べ物などから健康面での不安というのは多少あるのだけれど、上二つの影響が非常に大きく、この数年とても健康だと感じている。以前は、常に頭が痛かったり、腹が痛かったり、身体のどこかが常にドンヨリしていた。このままでいたら、自分は日本人の平均寿命を全うすることは出来ないだろうなあ、とうっすらと思ってさえいたくらいだ。

・仕事に対する意欲が湧く

仕事以外の部分が充実してくると、仕事に対して前向きな気持ちを持てるから不思議なところ。以前だと、どこか「場当たり的にやっつける」という感覚があったのだが、今は経験値を積み上げているとでもいうか「こなして次に繋げる」という感覚、仕事を通じて成長している感覚がある。海外で仕事をしていて日本では得られなかった経験をしている、というのも影響しているとは思うがこの変化は大きい。

 

メリットの方が勿論遙かに大きいのだが、残業ゼロになって良いことばかりかというと、実はそうでもない。

 

残業ゼロになって困った点

・様々な可能性を掴めそうなのに掴みにいかない自分にうんざりする事がある

「良かった点」に上げたとおり、時間はたくさんある。やろうと思えば、起業のアイディアを蓄えたり、資格の勉強をしてみたり、人脈を幅広くしてみたり、いろいろ出来るのになあ、と思ったりする。将来に対する種まきという意味で無為に時間を過ごしているように思われて自己嫌悪に陥ることがある。向上心の乏しさよ…。

・日本に帰ってから昔のように仕事できるだろうかと不安になる

これをデメリットというのかどうかわからない。ただ、中国ではたまたま残業文化のない会社で働いているからよいものの、日本に帰れば当然のようにド残業の日々のはず。家族との時間はおろか、自分の自由になる時間は通勤電車に揺られているときくらい。しかもその時間でさえ、何か見えない不安に常に包まれているという…。

すると、「僕はロボットじゃないんだ!仕事をするためだけに生まれてきたんじゃない!」と叫びたくなる。

 

一体どうすれば今の生活を維持できるのだろうか。少し考えてみる。

 

日本に帰っても残業しなければいいんじゃないか?

結論としては、今と同じように日本でも残業ゼロをやってみよう、と思っている。おそらく、周りから顰蹙を買うことは目に見えている。だが気にしない。

そもそも、別に今だって手抜きをしているわけではない。いい加減な仕事をしているつもりもない。ただ、会社の定めた就業時間9時から5時までというだけだ。その時間は言うまでもなく全力投球だ。

よく考えてみて欲しい。メジャーリーガーだって、全力投球できる球数には制限がある。24時間365日全力投球し続ければ、肘も肩もボロボロになって、あっという間に使い物にならなくなる。

語弊を恐れずに言えば、長時間勤務が当たり前になっている日本の仕事の仕方というのは、常に大きく振りかぶって全力投球のフリして負担の少ない超ヘナチョコボールを投げ続けているのと同じだと思う。「否、私は24時間全力です。常に最高のアウトプットを出し続けています」という人がいたとしたら、稀代の超人かただの嘘つきかどちらかだ。

勿論、残業して延々と働く人達は(昔の自分も含めて)本人的には一生懸命球を投げているのだろうが、それはコントロールもスピードもヒドイもので、第三者の観客の目から見たら、滑稽な光景に違いない。「おい、そんなヘボ球投げてないで、休んで出直してこい!」と野次られてもおかしくない。

上のメリットにも書いたが、しっかりオフの時間が得られることで、かえって仕事に対して意欲が湧いてきて、1つ1つの業務を前向きにこなしていくことが出来ているのだが、惰性の中でへっぽこな球を投げることに慣れると、全力投球の仕方が分からなくなってくるし、もはや球を投げること自体が苦痛になってくる。この弊害をマネジメント層が理解していかないとなかなか環境は変わらないだろうな。

 

あとがき

改めて我が身について考えてみると、日本でよくある(というか、自分もそうだったが)「上司や周りが帰らないから帰らない」「別にその日に終わらせなくてもいいのに、残ってまで仕事する」といった非効率的な仕事の仕方はもうやめだ!周りが全力投球(のフリ)をしているのであれば、「はいはい、スゴイでちゅねー」と生暖かく見守りながら荷物をまとめて、1秒でも早く退社しよう。

周りの目や評価を気にして自分の命を削ってどうする。

誰のための、何のための人生なんだ。

 

 まあ、ぼくは決して仕事が出来る人ではないのですが。。。