No Pain, No Gain

気がつけば不惑、それでも今日も絶賛迷走中。

既に日本は終了していると思う(少子高齢化は止まらない)

非常に気になったブログがあったので珍しく他の人のブログについて論じてみる。

rootport.hateblo.jp

【要旨】

・2050年には少子高齢化の進展により現役世代1.2人で老人1人を支えることに

・今20代~30代の世代が子供を産めばこのシナリオを回避できる

・子供を産むか産まないかの閾値は「世帯所得500万円」

・所得の壁を越えるためには「労働者の賃上げ要求」「女性の雇用拡大」が必要

 

感想 - 言ってることは理解はできる...でも本当に所得増えるの?

組合の力が弱く労働者の賃上げ要求が通らない(というか要求しない)というのは実体験を通じてよく分かる。僕自身、ほとんど恩恵を受けていないのに毎月搾取される組合費に理不尽さを感じている。それにこの1~2年で大企業を中心に賃上げがあったけど、実情を見れば「お上の激しい要請を受けて、日本を代表する企業がベースアップすることになったので我々も追随します」といった企業の多い事。労使交渉とは全く別次元。組合ってなんか役に立ってんの?

また、女性の雇用拡大も確かに専業主婦が働きに出ればその分所得が増える、という理屈は分からなくもない。身の回りでも有名大学を卒業して就職したものの出産・育児を経て専業主婦をしている女性も多く、実際にはかなりの人的資源が埋没している。モッタイナイ!

 

ただ、著しい経済成長が期待できない現代日本において(所得格差を是正するような)賃上げを行うことは企業から個人へそれなりの規模の富の移転が行われるということになるわけで、企業に収益構造の改善が無い限り内部留保を削り、次に減らせるコストを削ることになる。場合によっては経営が悪化して、雇用が減る可能性さえある。無責任な賃上げ要求は我が身を滅ぼすことになりうる。

女性の雇用拡大も、経済が拡大局面にあれば当然世帯所得を拡大するのに有効な手立てかもしれないが、限界的な状況においては男性や既に働いている女性とのパイの奪い合いになる局面に到るのではないだろうか。そのためなのか、女性の雇用拡大を実現するためのハードルは非常に高く、険しい。

 

要するに、これらの方法では子供を産んで欲しい人達の所得は増えない。

 

参考:今僕が暮らしている中国では?

中国は低下したとはいえ成長率が7~8%あり、物価も賃金も上昇している。(プロジェクトのIRR(内部収益率)を算出する際の労務費前提も、日本であれば大体横ばいで見るところ、こちらでは毎年5%増(20年弱で元の値の倍になる!)で計算してたりして度肝を抜かれた)また、企業での女性活用は日本より相当進んでいる。

日本男児諸君!女性幹部の登用が、中国にすら負けていますよ -衆議院議員 小池百合子:PRESIDENT Online - プレジデント

 

実際、今の会社の幹部層には女性が多く、誰もが共働き/一人っ子のため可処分所得は多く、僕ら日本人駐在員よりも豊かに暮らしている印象さえある。

 

中国のような拡大していく経済環境においては、賃上げ要求や雇用拡大による所得増加とそれに伴う生活の質の向上や出生率の増加というのは、一連のストーリーとして当然あり得る話だ。

だが日本はそのような環境にはない。

 

※補足

中国は一人っ子政策の余波で猛烈なペースで少子高齢化が進展していくとされていて、日本がどのような手法でこの問題に対処するのか、あるいは対処できなくて衰退していくのかということを冷静に見ていると思う。(政治体制の特殊性もあるので、日本がマネできない方法で解決すると踏んでます)

 

対案:では、どうするか

凄まじく荒っぽい暴論だけど、日本全体の所得を増やす事が難しい状況においては、

・老人を支えない(今までのようには)→ex.医療・介護保険の負担率を引き上げ

・老人から若者へ富を移転する→ex.相続税を大幅増税した上で、これを財源に子育て世帯に教育目的限定給付金(現金よりもバウチャ方式が望ましい)を支給

といった方法が有効だろう。

ただし、老人や富裕層といった既得権者を敵に回すことになるので、誰も手を付けず実現可能性は乏しい。

 

老人の力を削ぐという意味で政治制度の見直しも不可欠だと思う。

・0歳から18歳の未成年にも選挙権を付与し、未成年選挙権は親権者に付託→若者の声に数の力を持たせて政治に反映させるための方策。1人1票の原則から外れるので、かなり実現可能性は低いだろうな。

 

老人の面倒を見る世代を増やすために所得を増やそうというテーマに対して、いつの間にか老人の負担を増やそうという結論に到るという不思議。というか論理の飛躍。

 

あとがき:個人的な結論

僕はもう日本は不可逆的に緩やかに終了に向かっていると思う。従って海外に脱出することができるようなスキルや知識を持たねばならないし、子供たちにもそれらを授けてあげられるようにしたい。

 

Rootportさん自身が書いているんだけど、

 

昭和30年ごろに約50%だった高校進学率は、現在は96%以上にまで上がった。今では大学進学率が約50%だ。昭和30年代の高卒者と同じくらいの給与 階層の仕事に、今では大卒者が就いている。技術革新が目まぐるしく進む世の中で、親と同じレベルの所得階層を維持するには、子供は親よりも高度な教育を受 ける必要がある。

いま失敗すれば、日本終了。 - デマこい!

僕もずっと「自分と同じ教育を受けても、自分の子供達の世代ではジリ貧になりそう...」と感覚的に思ってた。

「高度な教育」というのは単純に中卒・高卒・大卒・引率といったつまらん肩書きではなくて、具体的な価値を生み出せる力を育むということ。

それはプログラミングの能力だったり、人の心を動かす文筆やパフォーマンスの能力だったりするのかもしれない。それらの能力を活かし、多くの人に伝えるためにも日本語のみならず多言語習得できると尚良いだろう。

という悲観的なシナリオに則って行動していれば、とりあえず一世代か二世代くらいは何とか生きていける、はず。